庭の金木犀
公開日: 8:53 BLOG
スギ、ヒノキ、シラカンバ、ブタクサ、ヨモギ......自分の花粉症のアレルゲンの植物である
つまりぼくは1年のうち11月、12月、1月の期間しか鼻がスッキリしていないわけです
「なので、嗅覚が人よりもだいぶ劣っているんですよ」
なんて話しを新規のご年配のお客様としていた
「この時期は町を歩いてるだけでも金木犀の良い香りがするじゃない」
とその方はおっしゃったけれど、ぼくは金木犀の香りなんてついぞ嗅いだことがない
オーガニックシャンプーをモコモコ泡立てて、このアロマもこの方には強く感じるのだろうか
そんなことを思いながら
「そもそも金木犀ってどんな花なんですか」と会話の続きをした
「ちいさなオレンジの花がいっぱい咲くやつよ。そんなのも知らないの?」
「へー見たことないかもしれません」
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翌日は休みで、午前中の予定はなかった
リビングに下りて、母と遅めの朝食をとる
「昨日さー、新規でご年配の人が来て、延々と自慢話を聞かされたあげく、バカにされたり、さんざんな思いをしたよ。接客業は疲れるよ...」
7年たっただろうか
初対面の人も常連の人も老若男女さまざまな人に誠心誠意で接する
いまだに向いているのかよくわからない
「10月も半ばになるのに、今日は夏みたいな天気だね」
と庭に目をやると、庭の木が花を咲かせている
小さなオレンジ色の花が、たくさん
「あの木ってもしかして金木犀?!」
「そう、あと一週間もすれば散っちゃうね」
すぐに庭に出て、思いっきり香りを吸いこんだ
しっかりと輪郭のある、花の香りがした
今の家に住んで10年以上たつが、この庭の木が金木犀だったなんて知らなかった...
『愛の反対は憎しみではなく無関心です』
というマザー・テレサの言葉を思いだした
夢中でシャッターを切り、自分の部屋に上がり、パソコンを立ち上げた
あぁそういえば今日は暑かったんだ
庭の金木犀の方の窓を全開にした
次回あの方がいらしたら、なんて伝えようーー
時として、接客業は素晴らしく、そして美しい
「庭の金木犀」 シマダ アツシ
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